OTCは3種類!ロキソニンシリーズの違いは?
こないだ患者さんに「ロキソニンSやプレミアムって何が違うの?」と質問されたのですが。。
自信を持って答えられなかったので、ロキソニンシリーズの違いを調べてみました。
先に一言でまとめると、
医薬品と同じ成分がロキソニンS、胃の負担を軽くする成分をプラスしたのがロキソニンSプラス、より高い鎮痛効果が期待できるのがロキソニンSプレミアムです。
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/faq/faq_loxonin-s_int_q00001.html
もう既に公式サイトにアンサーが出ているので、成分であるロキソプロフェンの復習も込めました。
1.ロキソニンとは?
第一三共から販売されている医療医薬品及び第一類医薬品。
成分名であるロキソプロフェンナトリウムはプロドラッグであり、吸収後に肝などで代謝され活性体となるため、NSAIDsの中でも胃腸障害が少ないとされています。
- 分類
酸性NSAIDsのプロピオン酸系に分類。
仲間として、イブプロフェン(ブルフェン)やナプロキセン(ナイキサン)等。
効果と安全性のバランスが良いとされているグループです。
- 作用機序
NSAIDsはCOXに結合して阻害し、PGの生合成を抑制します。
COXにはアイソザイム1,2が存在し、NSAIDsの鎮痛・抗炎症作用はCOX-2阻害作用によるものです。
- 副作用
NSAIDs全体の副作用として、COX-1を阻害してしまうことで胃腸障害、腎障害(浮腫、高血圧など)、出血傾向などが発現することがあります。
- 禁忌
消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害・心機能不全、アスピリン喘息、妊娠末期
- 相互作用
ロキソプロフェンとの相互作用の一例です。ちなみに併用禁忌はありません。
作用 |
機序 |
|
ワルファリン |
抗凝血作用増強 |
PG生合成抑制作用による血小板凝集抑制作用 |
SU剤 |
血糖降下作用増強 |
蛋白結合率が高い |
リチウム |
血中リチウム濃度上昇 |
腎排泄低下、毒性増強 |
メトトレキサート |
血中メトトレキサート濃度上昇 |
腎排泄低下、毒性増強 |
チアジド利尿薬 |
利尿・降圧作用減弱 |
腎PG生合成抑制による水・Na排泄減少 |
降圧剤 |
降圧作用減弱、腎機能悪化 |
PG生合成抑制による降圧作用減弱、腎血流量低下 |
痙攣誘発の増強 |
NK系によるGABA受容体結合阻害作用を増強する |
- 用法・用量
1.様々な痛みの消炎・鎮痛:1回60mg、1日3回。 頓用の場合1回60~120mg
2.急性上気道炎の解熱・鎮痛:1回60mg。原則として1日2回までとし、1日最大180mgまでとする。
共通して「空腹時の投与は避けさせることが望ましい」と記載あり。
2.ロキソニンシリーズの違いは?
OTCのロキソニンシリーズの主成分は、医薬品のロキソニンと同じ「ロキソプロフェンナトリウム水和物」です。
ロキソニンSと、医薬品のロキソニンとの違いは、刻印や割線が無いことで、成分・成分量・添加物・錠剤の大きさは同じとの事です。(※ロキソニンSプラスはSより小粒だそう。プレミアムも小型錠と記載あるけど、1回2錠服用の必要あり。)
現在発売されているOTCのロキソニン3種類の特徴を、下記にまとめました。
ロキソニンSプラス |
ロキソニンSプレミアム |
||
キャッチコピー(?) |
1回1錠で痛みに早く効く。 さらに飲みやすい小型錠。 |
胃にやさしい成分をプラス配合 |
速さ、効きめ、やさしさを同時に考えたプレミアム処方 |
成分(ロキソニン除く) |
― |
酸化マグネシウム33.3mg (1錠中) |
アリルイソプロピルアセチル尿素60mg、 無水カフェイン50mg、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100mg (2錠中) |
用法・用量 |
1回1錠。1日2回まで。 |
1回1錠、1日2回まで。 |
1回2錠。1日2回まで。 |
包装・価格 |
12錠 713円(税込) |
12錠 768円(税込) |
12錠 768円(税込) 24錠 1,298円(税込) |
発売年 |
2011年 |
2015年 |
2016年 |
<MEMO>
・OTC版の禁忌として、服用してはいけない人に「15歳未満の小児」の記載がある。
ちなみに、医薬品での妊娠後期を、OTCでは「出産予定日12週以内の妊婦」と表現。
・OTCの用法は、消炎/鎮痛/解熱の目的であっても用法は同一の1日2回まで。
用法の共通点に追記:「再度症状があらわれた場合は3回目を服用できる。服用間隔は4時間開ける。なるべく空腹時の服用を避けるように」
・OTCなので長期連用を避けるよう記載あり。目安は3-5日服用しても症状が改善しないとき。
・併用注意として共通で挙げられているのは「他の解熱鎮痛薬、かぜ薬、鎮静薬」、Sプレミアムは「乗物酔い薬」が追加で記載されている。
★Sプレミアムは、含有成分のアリルイソプロピルアセチル尿素による眠気誘発の可能性がある為、「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないで下さい」の注意事項あり。
- SプラスやSプレミアムに配合されている成分について
①酸化マグネシウム
「胃を守る成分」として配合。酸中和力が強いため、制酸剤として働く。
緩下剤として使用するよりも少量で投与する。(医薬品の添付文書上は 制酸:0.5-1g/日、緩下:2g/日)
「鎮痛効果を高める」役割。鎮痛・鎮静作用があり、医療用ではSG配合顆粒に、OTCではバファリン、セデス、ノーシン、イブに配合されているようです。
③無水カフェイン
「鎮痛効果を助ける」役割。腸管吸収を促進させ、ロキソプロフェンの効果を強める目的で配合されている、という感じでしょうかね。医療用でもSG配合顆粒、クリアミンに配合されています。④メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
「胃を守る成分」として配合。胃酸中和・胃粘膜保護作用がある。
医療用ではキャベジンUコーワ配合散(抗潰瘍・胃炎)、ガストール(胃痛)などに配合。
再び結論を述べますと、
医薬品と同じ成分がロキソニンS、胃の負担を軽くする成分をプラスしたのがロキソニンSプラス、より高い鎮痛効果が期待できるのがロキソニンSプレミアムです。
そしてイメージキャラクターも、、20/4月現在、Sとプラスは貫地谷しほりが、プレミアムは北川景子がやってるのです。。 Sゲルは谷原章介がCMやっとった笑
<余談>
ちょっとした自問自答。Qプレミアムには無水カフェインが配合されているけど、不眠につながらないのか?
無水カフェインには、中枢神経興奮による覚醒・強心作用もある為、単体で医療用医薬品も存在します(カフェイン水和物っていうのも存在してて、適応はどちらも眠気・倦怠感・頭痛みたい)。
添付文書上の副作用として、Sプレミアム、SGには不眠の記載なし。クリアミンには心悸亢進、不眠の記載あり、「純生」無水カフェインには振せん、不整脈、不眠、瞳孔拡大などあり。
無水カフェインの含有量は、1回量当たりSプレミアムは50mg、SGは50mg、クリアミンA1.0も50mg。
「純生」無水カフェインってやつは原末で、1回0.1-0.3gを1日2-3回服用。→200-900mg/day
(ちなみにコーヒー100mlあたりのカフェイン量は60mg程度だって。)
との事から、鎮痛効果の作用増強目的で含有されているのカフェイン量はそれほど多くないので、不眠にはならなさそうかなぁと思いました。(感想)
【参照URL】
・頭痛・生理痛・歯痛に速く効く「ロキソニンS内服薬シリーズ」|第一三共ヘルスケア
・カフェインの量目安:https://j.cocacola.co.jp/info/faq/detail.htm?faq=19112
【参考】
・今日の治療薬
・薬がみえるvol.2
・青本(懐かしい笑)